男性型脱毛と円形脱毛の違いって?
円形脱毛症の予兆と経過
「10円ハゲ」とも言われる円形脱毛症。できれば人に気付かれる前に早期発見・治療したいものですよね。しかし円形脱毛症は、予兆がないケースがほとんどなのです。
多くは髪の毛を洗っているときやセットしているとき、突然脱毛していることに気付きます。症状の特徴は円状の脱毛で、これを「脱毛斑」と呼びますが、範囲が狭い場合には人に指摘されて初めて気付くこともあります。
【円形脱毛症の初期症状】
- 頭部に地肌が見える部分がある
- 円形または楕円形に脱毛していて、毛が生えている部分との境界線がはっきりしている
- 洗髪やブラッシングでたくさんの髪が抜ける
- 朝、枕に抜け毛がたくさん付いている
- 爪に点状のデコボコがみられる
- 皮膚にかゆみや軽い痛みがある(感じる人は少数)
これらの初期症状に加え、次のような症状が見られた場合には円形脱毛症が進行していると考えられます。
- 脱毛斑の周囲の毛を引っ張ると簡単に抜けてしまう
- 脱毛斑が広がってくる、脱毛箇所が増える
- 抜けた毛の根元が細く尖っている(健康な毛髪はぷっくりとふくらんでいる)
円形脱毛症のタイプは、大きく単発型・多発型・全頭型・汎発型の4つに分けることができます。進行しないよう、初期症状が見られたときには皮膚科で診断を受けましょう。
円形脱毛症とAGAとの違い
急に抜け毛が増えたけれど、これって円形脱毛症?それともAGA?
なかなか人には聞きづらい髪の悩みですが、円形脱毛症とAGA(男性型脱毛症)では症状の現れ方が明らかに違います。
前項で述べたように円形脱毛症は予兆がなく、ある日突然症状に気付きます。そして、頭髪の一部分が円状・楕円状にごっそり抜けます。一方で、AGAの進行はゆっくりです。髪の生え際や頭頂部から、徐々に髪が薄くなっていきます。円形脱毛症の脱毛斑のように、境い目がクッキリしているわけでもありません。
また、AGAの原因は遺伝や男性ホルモンと言われることも多いですが、根本的な原因は「頭皮の血行不良」です。髪の毛は血液によって運ばれてきた栄養をもとに成長していきますので、頭皮の血行が悪くなると十分に成長できず、か細い毛髪になってしまったり、生えてこなくなったりするのです。
対して円形脱毛症は、自己免疫疾患が主な原因として考えられます。自己免疫疾患については次項で詳しく説明しますが、円形脱毛症とAGAでは原因が異なるので治療方法も異なる、ということをまず頭に入れておきましょう。
円形脱毛症の原因と予防策
現在、円形脱毛症の原因としてもっとも有力な説は「自己免疫疾患」です。私たちの身体には、異物やウイルスに対して抵抗する力(自己免疫)が備わっています。自己免疫疾患とは、本来なら自分の身体を守るはずの免疫機能が正常に働かず、自分の身体の一部分を異物とみなして攻撃してしまう症状です。
自己免疫疾患には、全身性の疾患から一部の臓器に見られる疾患までさまざまな種類がありますが、頭皮に見られる疾患が円形脱毛症です。具体的には、免疫細胞であるTリンパ球が、毛根を誤って攻撃してしまうことで起こります。
自己免疫疾患は、ストレス・疲労・ウイルス感染などにより起こりやすくなるとされています。とてもショックな出来事があって円形脱毛症になった、という話をよく耳にしますが、これはストレスによって自己免疫疾患が引き起こされた結果だと考えることができます。また円形脱毛症になりやすい体質として、アトピー性皮膚炎や花粉症などアレルギー疾患のある人が挙げられることから、アレルギーの影響も原因の1つとして指摘されています。
以上のように、円形脱毛症の原因は免疫反応の異常だと考えられています。円形脱毛症の治療としては、塗り薬・内服薬による薬物療法や、意図的にかぶれを引き起こして発毛を促す局所免疫療法などがあります。
円形脱毛症は再発を繰り返しやすい病気です。円形脱毛症の予防として私たちができることは、日頃から生活習慣と頭皮環境を整えて、自己免疫疾患を起こりにくくすることです。
【円形脱毛症の予防に効果的な4つのこと】
- ストレスをため込まない
- 食事・睡眠・運動など、生活習慣を改善する
- シャンプーは低刺激のものにする(アレルギーを引き起こす可能性があるため)
- 頭皮マッサージをして血行をよくする
もしかして円形脱毛症?と思ったら、医療機関を受診するとともに上記の予防策も取り入れてみてくださいね。